もっともっと世の中に笑顔を

農業!たいこや

有機栽培と炭素

有機栽培における炭素の重要性

作物と真剣に対話をしようとすると、農業においては必然的に有機化学が必要になってきます。
ただ有機化学はとても複雑で難解です。
私もさっぱり分からないのですが、農業においては、
窒素(N)
炭素(C)
酸素(O)
水素(H)
のこの四つの組み合わせで大雑把には理解して行く事ができます。
どんな有機体もNCOHのこの四元素の割合が違うだけで、ほぼ全てに、この四元素は含まれています。
さらに大きく分けると、炭素グループと窒素グループに分ける事ができます。
C\N比という言葉がよく出てくるように、炭素と窒素の割合というのが、栽培を考えて行く上でとても重要になってきます。

窒素と炭素

植物体自身の窒素と炭素のイメージとしては、
窒素は細胞。と思ってもらって良いんじゃないでしょうか。プヨプヨと柔らかいイメージ。
炭素はセルロースと言われる食物繊維が代表的で、皮や骨格と捉えれます。木が象徴的ですが、硬いイメージですね。

化学肥料がまさに窒素の代表ですが、細胞をたっぷり作れるので、作物が早く大きく育つんですね。
それに対して堆肥は炭素を与えているようなものなので、細胞を守ってくれるセルロールが増えるイメージ。
肥料である窒素ばかりを与えると早く大きく育つんですが、ナヨナヨヒョロヒョロの作物になってしまって、虫や病気にやられたい放題になってしまいます。そこを農薬で抑えながら育てるのが普通の農法です。

無農薬での栽培とは

対して無農薬農家は無肥料ですすめる方もいるように、窒素は極力与えないようにします。
ただし、そのままでは生育がままならないので、堆肥をたっぷり与える事が多いです。
堆肥は炭素資材の代表ですが、前述したように有機物には窒素も必ず含まれていますので、微生物が堆肥を分解して行く過程で窒素成分も作物に吸収されていきます。
ただし有機窒素は化学肥料のように小さな分子の窒素ではありませんので、急激には吸収されず穏やかに効いていきます。

生育は化学肥料栽培よりは遅くなりますが、自然な生育という事ですので、作物の免疫力や抵抗力がちゃんと機能しながら、虫や病気からも自力で守っていってくれます。
細胞が増えていくペースに、細胞を守ってくれる炭水化物が、ちゃんと追いついているイメージでしょうか。
作物自身の力を発揮させようとすると、炭素である炭水化物を優先させて進めるのはこの為です。

一口に炭水化物と言っても実はとても多彩でして、お米やお芋さんのようなデンプンはもちろん、外敵から身を守る細胞膜や細胞壁も炭水化物。
免疫力にとても重要なビタミンも実は炭水化物になります。
味に関わる部分では、糖類も炭水化物ですし、お酢も炭水化物ですので、甘味酸味のバランスは炭水化物のバランスとも言えます。
生育で言えば、根っこなどは炭素比が高くなりますし、土中のミネラルや栄養素を分解吸収する為に必要な根酸も炭水化物です。
何より光合成で作り出すものが、炭水化物ですので、植物の生育においていかに炭素が重要かがおわかりいただけるんじゃないでしょうか。
全ての生物は炭素基盤でもありますので、自然な循環は炭素の循環でもあります。
窒素は、爆弾や花火やエナジードリンクなど刺激的なものから、花の鮮やかな色彩など、美しいものも沢山あるのですが、刹那的で儚いものでもあります。
華やかな窒素優先ではなく、地味ですが地球のリズムにあった炭素優先の栽培が私達のからだにも合うのは必然ですね。

記事監修
農業!たいこや
無農薬農家 吉田 昭

, ,
たいこや